国産材を使った建築は何が違う|東濃檜・地域材と、長く使える木の建築を考える「ひとりごアート」

国産材を使った建築は何が違う|東濃檜・地域材と、長く使える木の建築を考える「ひとりごアート」

国産材を使いたい、という相談があります

「できれば国産材を使いたい」

「木の建物が好きです」

「無垢の木を使った店舗にしたい」

「木造の事務所を考えている」

「古い木造建築を壊さずに使えないだろうか」

住宅だけではなく、店舗、オフィス、クリニック、宿泊施設などでも、こうした相談があります。

木が好きな理由は、人によって違います。

木の手触りが好きな人。

香りが好きな人。

経年変化が好きな人。

国産材を使いたい人。

地元の山や林業を応援したい人。

鉄や石とは違う、少し柔らかな空気感が好きな人。

私は、どれも建築を考える立派な入口だと思っています。


木を使うことは、「木目を見せること」だけではない

木を使った建築というと、

壁に木を貼る。

天井を木にする。

無垢材の家具を置く。

というイメージがあります。

もちろん、それも一つの方法です。

でも木の魅力は、表面に木目が見えることだけではありません。

柱や梁として使う。

建具として使う。

家具として使う。

軒や外部空間に使う。

既存の木材を残す。

古い梁を次の建築へ受け継ぐ。

木には、さまざまな使い方があります。

重要なのは、

「木を使うこと」ではなく、「なぜ、この場所に木が必要なのか」

だと思っています。


国産材を選ぶ意味

木材には、国産材もあれば外国産材もあります。

私は、すべての建築で国産材だけを使うべきだとは考えていません。

予算。

用途。

耐久性。

寸法。

調達。

仕上げ。

構造。

によって、適した材料は変わります。

そのうえで国産材には、

その地域の風土や産業と、建築をつなげられる面白さ

があります。

木がどこから来たのか。

どんな山で育ったのか。

誰が伐り出したのか。

どのように加工されたのか。

そうした背景まで建築の一部になります。

素材に「出所」がある。

これは、建築にとって大きな魅力です。


東濃檜という地域資源

岐阜県には、東濃檜をはじめとした木材があります。

私自身も、東濃地域や東白川村などの木材を建築に使ってきました。

国産材を使うことを、

「日本の木だから良い」

という一言だけでは考えていません。

木目。

色。

節。

寸法。

香り。

加工性。

使う場所。

そして建築全体との関係。

それらを見ながら決めます。

材料の名前をブランドとして貼り付けるのではなく、その木が建築の中でどう生きるかを考える。

それが設計だと思っています。


蕎席 雅山|木が主張しすぎない店舗建築

春日井市の蕎席 雅山でも、木は重要な建築材料です。

【建築事例】蕎席 雅山

飲食店だから、

木をたくさん見せれば和風になる。

という発想ではありません。

軒。

庭。

光。

天井。

素材。

そこを歩く人の動き。

そして周囲の風景。

それらを一つの体験として考えています。

木は、その体験をつくる材料の一つです。

木が目立つことより、

そこにいる人が自然に落ち着けること。

その方が大切だと考えています。


「木の店」と「木を貼った店」は違う

店舗で木を使うと、

温かい。

高級感がある。

和風になる。

という説明をされることがあります。

でも、それだけでは木を使う理由として弱いと思います。

同じ木でも、

照明。

天井高さ。

窓。

家具。

庭。

音。

人との距離。

によって、感じ方はまったく変わります。

木材だけで空間は完成しません。

逆に言えば、

木の良さを生かすには、木以外の設計がとても重要です。


森と川に咲く花|既存建物と新しい木を重ねる

一宮市の「森と川に咲く花」は、築70年の織物工場をリノベーションした建築です。

【建築事例】森と川に咲く花

古い建物には、

すでに時間があります。

新築ではつくれない傷。

柱。

壁。

大きな空間。

かつて工場だった記憶。

そこへ新しい木を加えると、

古いものと新しいものが同時に存在します。

私はリノベーションでは、

全部を新品にして古さを消すより、

既存建物が持っている時間と、新しい材料をどう重ねるか

を考えることがあります。

木は、この「時間をつなぐ」という仕事とも相性のよい材料です。


古い木材は、古いから価値があるわけではない

古い梁。

古い柱。

古い建具。

を見ると、

「残した方がいいですね」

と言いたくなります。

でも、必ず残すわけではありません。

傷みが激しい。

構造上問題がある。

新しい用途に合わない。

改修費が大きすぎる。

のであれば、交換する判断も必要です。

逆に、

まだ使える。

今では手に入りにくい材料である。

建物の記憶を残している。

新しい用途にも生かせる。

のであれば、残す意味があります。

なぜ人は古い建物に心を動かされるのか|梁・建具・庭に宿る時間価値

木を大切にすることと、何でも残すことは同じではありません。


木造建築は、必ず長寿命なのか

ここも単純ではありません。

「木造だから長持ちする」

とは言えません。

水。

湿気。

雨。

紫外線。

シロアリ。

納まり。

維持管理。

によって状態は大きく変わります。

木造建築を長く使うためには、

木の性質を理解して、水から守り、必要なところを修繕できる建築にすること

が重要です。

だから私は、

「木だからサステナブル」

という言い方だけで終わらせたくありません。

長く使われる。

修理できる。

用途が変わっても使える。

必要なところだけ更新できる。

そこまで含めて、建築の寿命を考えたいと思っています。


木造には「直しながら使う」という考え方がある

古い寺院や民家を見ると、

一度完成した状態のまま数百年残っているわけではありません。

傷んだ部分を直す。

屋根を直す。

建具を直す。

部材を交換する。

使い方を変える。

そうやって建物は生き続けています。

これは現代建築にも重要な考え方です。

完成した瞬間を100点として、

そこから古くなっていく建築ではなく、

使いながら手を入れ、育てていける建築。

私は、木造建築の魅力の一つはそこにあると思っています。


MA CUBE|小さな木の空間だから分かること

【建築事例】MA CUBE

MA CUBEは、2.5m角という非常に小さな空間です。

空間が小さいほど、

人と材料の距離は近くなります。

木を見るだけではなく、

触れる。

香りを感じる。

光による表情の変化を見る。

人と木との距離が近いからこそ、

材料が空間体験そのものになります。

木は装飾ではなく、

人と空間の関係をつくる材料

だと感じます。


国産材は、住宅だけのものではない

ここはもっと伝えていきたいところです。

国産材というと、

注文住宅。

和風住宅。

古民家。

を想像されることが多いかもしれません。

でも私は、

店舗。

オフィス。

クリニック。

宿泊施設。

寺院。

コワーキング。

などでも使えると考えています。

用途によって、

木に求める役割が違います。

店舗なら、

商品や料理との関係。

オフィスなら、

企業らしさや働く場所としての質。

クリニックなら、

清潔性や維持管理を含めた素材選択。

宿泊施設なら、

土地や風景との関係。

それぞれ違います。

だから、

「木質空間」という一つのスタイルを当てはめるのではありません。


木造オフィスという選択

オフィスを鉄骨造やRC造でつくるのか。

木造でつくるのか。

これは建物規模や条件によって判断します。

ただ、

会社として国産材を使いたい。

自社の考え方を建物で伝えたい。

地域との関係を建築に表したい。

という経営者にとって、

木造や木質空間は一つの選択肢になります。

重要なのは、

「木の会社に見せる」

ことではありません。

なぜその会社が木を使うのか、理由が建築とつながっていること。

それがあると、材料が企業の考え方の一部になります。


クリニックでも「木を使うこと」を目的にしない

クリニックの待合室に木を使いたい。

という相談もあります。

木の質感が医院の雰囲気に合う場合があります。

一方で、

清掃。

耐久性。

衛生。

医療機器。

頻繁に触れる場所。

などへの配慮も必要です。

だから、

全面を木にする必要はありません。

使う場所を選ぶ。

他の材料と組み合わせる。

それも設計です。

木が好きだからこそ、木を使いすぎない判断も必要になることがあります。


宿泊施設では、木と地域との関係がさらに強くなる

宿泊施設は、

その土地を体験する場所でもあります。

どこでも同じ部屋ではなく、

「ここへ来た」

と感じられる宿にしたい。

そのとき、

地域材。

庭。

景色。

古い建物。

地域の技術。

は大きな手掛かりになります。

地域らしい宿はどうつくる?|土地・風景・素材を宿泊体験に変える宿泊施設設計

木材も、

単なる内装材ではなく、

地域を感じるための一つの入口

になります。


木を使うことが、山との関係をつくる

建築で使う木は、最初から製材所に置いてあるわけではありません。

山で育っています。

伐採されます。

製材されます。

乾燥されます。

加工されます。

そこには林業や製材業があります。

国産材を使うことによって、

建築と山との間に小さな関係が生まれます。

もちろん、

一本の建物をつくったから山林問題が解決する、

という単純な話ではありません。

それでも、

自分たちが使う建築材料がどこから来ているのかを知ることには意味があると思っています。

→ 木造建築・木質空間が、企業価値と地域循環を変える理由


地域材を使うことは、「地域らしい形をつくる」ことではない

地域材を使うと、

地域らしいデザインにしなければならない

わけでもありません。

和風。

切妻屋根。

伝統的な形。

である必要もありません。

現代的な建築でもいい。

ミニマルな建築でもいい。

既存建築のリノベーションでもいい。

重要なのは、

その場所にある資源を、今の建築としてどう使うか。

です。

地域性は、昔の形を再現することだけではありません。


国産材を使った建築で、最初に考えたい7つのこと

国産材や木造建築を検討するとき、私は次のようなことを考えます。

1.なぜ木を使いたいのか
見た目、手触り、地域性、構造、企業姿勢など。

2.どこに木を使うのか
構造、内装、建具、家具、外部。

3.どの木を使うのか
樹種、産地、寸法、品質。

4.水や汚れにどう対応するのか

5.年月が経ったとき、どう見えるのか

6.傷んだときに修繕できるのか

7.建物全体の用途や予算に本当に合っているのか

木を使うことを先に決めるのではなく、

これらを見ながら考えます。


「木が好き」から建築の相談が始まってもいい

建築相談というと、

土地。

面積。

予算。

間取り。

が決まってから設計事務所へ相談するものだと思われるかもしれません。

でも、

「木の建築が好きです」

「国産材を使ってみたい」

「東濃檜に興味があります」

「古い木造建築を活かしたい」

というところから始まっても構いません。

そこから、

新築がよいのか。

リノベーションがよいのか。

木造がよいのか。

別の構造と木を組み合わせるのか。

を考えていけばよいからです。


木を使うことより、木とどう付き合うか

私は、木を万能な材料だとは考えていません。

木にも弱点があります。

だからこそ面白いとも思います。

傷む。

色が変わる。

節がある。

一本ずつ違う。

時間とともに変化する。

工業製品のように、

ずっと同じ状態ではありません。

その変化まで受け入れながら使う。

木の建築とは、材料と時間を一緒に設計すること

なのかもしれません。


建築相談カフェ|国産材・木造・既存木造建築の相談から

梶浦博昭環境建築設計事務所では、一宮市を拠点に、名古屋・愛知・岐阜を中心として、

国産材を使った建築。

木造建築。

木質空間。

東濃檜・地域材を使った空間。

店舗・オフィス・クリニックの木質化。

宿泊施設。

住宅。

古民家再生。

既存木造建築のリノベーション。

などを設計しています。

「国産材を使いたいが、何から考えればよいか分からない」

「木造で店舗や事務所をつくれるのか知りたい」

「木を使いすぎない、落ち着いた空間にしたい」

「地元の木材を建築に使いたい」

「古い木造建築を残せるか相談したい」

という段階からでも構いません。

材料から始まる建築相談があってもいい。

そこから、人、場所、目的、将来を見ながら、その建築に必要な答えを考えます。

梶浦博昭環境建築設計事務所では、計画初期から相談できる**「建築相談カフェ(90分・無料)」**を行っています。

建築相談・お問い合わせはこちら


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