梶浦博昭環境建築設計事務所の建築事例を見ると、
住宅。
オフィス。
自社ビル。
クリニック。
店舗。
日本料理店。
宿泊施設。
古民家。
賃貸住宅。
寺院。
コワーキング。
と、かなり幅があります。
建物の形も、かなり違います。
「何を専門にしている設計事務所なのだろう」
と思われるかもしれません。
でも私の中では、これらは決してバラバラではありません。
むしろ、ずっと同じことを考えています。
人も、場所も、目的も違う。
だから、建築の答えも一つではない。
これが、私の設計の根にある考え方です。
もちろん、
住宅には住宅の知識があります。
クリニックには医療施設としての動線や設備があります。
飲食店には厨房やサービス動線があります。
オフィスには働き方があります。
宿泊施設には客室、プライバシー、運営があります。
用途ごとの専門性は必要です。
でも私は、
「これはクリニックだから、こういう形」
「これは店舗だから、こういうデザイン」
とは考えません。
まず見るのは、
誰が使うのか。
どんな場所なのか。
何を実現したいのか。
これからどう使われていくのか。
です。
そこから建築を考えます。
建築家には、
作品を見るだけで誰の設計か分かるような強い作風を持つ人もいます。
それも一つの建築のあり方です。
一方、私は、
自分の形を先に決めて、
それを敷地へ置く
という方法をあまり取りません。
一宮の住宅。
春日井の日本料理店。
クリニック。
中国の日本料理店。
寺院。
古い工場。
それぞれ、
人も、
敷地も、
予算も、
目的も、
時間も違います。
ならば、
答えが違うのは自然なことだと思っています。
設計を始めるとき、
私は要望を聞きます。
ただし、
要望をそのまま形にすることが仕事だとも考えていません。
例えば、
「広いリビングがほしい」
と言われたとします。
なぜ広いリビングが必要なのか。
家族で集まりたいのか。
庭とつながりたいのか。
来客が多いのか。
将来家族構成が変わるのか。
理由によって答えは変わります。
店舗でも同じです。
「客席を増やしたい」
という要望があれば、
なぜ増やしたいのか。
現在どこに問題があるのか。
回転数なのか。
客単価なのか。
サービス方法なのか。
を考えます。
要望の奥にある理由まで見る。
そこから建築が始まります。
私が独立したのは2001年です。
独立後、自ら土地を持ち、住宅ローンを組み、自邸を建てました。
設計者としてだけではなく、
施主として、
予算。
土地。
家族。
暮らし。
将来。
を考える経験をしました。
その後、住宅設計にも数多く携わってきました。
住宅では、
部屋数から始めるより、
家族がどんな距離で暮らしたいのか。
外とどうつながりたいのか。
一日のどこで家族が出会うのか。
ということを考えます。
住宅は私にとって、建築を人の生活から考える原点です。
オフィスだから、
フリーアドレス。
ガラスの会議室。
おしゃれなラウンジ。
をつくればよいわけではありません。
会社によって働き方は違います。
集中する時間が多い会社。
会話から仕事が生まれる会社。
来客が多い会社。
技術を見せたい会社。
社員同士の距離を変えたい会社。
それぞれ違います。
だからオフィスも、
「オフィスらしい形」
から考えません。
その会社では、人がどう働くのか。
そこから考えます。
クリニックでは、
診察室。
処置室。
受付。
待合。
という必要諸室があります。
でも、
部屋を並べるだけでは医院になりません。
患者さんは、
来院し、
受付をし、
待ち、
診察を受け、
会計をして帰ります。
スタッフはその間、
何度も別の動きをしています。
森整形外科では、既存医院を使いながら、院長の代替わりと今後の診療を見据えて段階的にリノベーションしています。
ここでも出発点は、
「クリニックらしいデザイン」
ではありません。
患者さんはどう感じるのか。
スタッフはどう働くのか。
次の世代へ、この医院をどうつなぐのか。
です。
店舗では、
売るものが主役です。
建築が商品より目立てばよいとは考えていません。
一方で、
同じ料理。
同じ商品。
同じサービスでも、
どのような場所で体験するかによって印象は変わります。
春日井市の「蕎席 雅山」では、
建物へ近づく。
深い軒を通る。
内部へ入る。
さらに進む。
そして山との関係が現れる。
という一連の時間を考えています。
建物の外観だけをつくっているのではありません。
店へ行き、入り、食事をし、帰るまでの体験をつくっています。
宿泊施設も同じです。
ベッド。
浴室。
洗面。
客室。
だけから考えると、
どこにでもある宿になりやすい。
築70年の日本家屋を宿泊施設へ再生した事例では、
庭。
既存建具。
木。
昔からある空間。
を見直しました。
古いから残すのではありません。
その建物だからできる滞在とは何か。
を考えた結果、残すものを選びます。
地域らしい宿はどうつくる?|風景・素材・地域資源を宿泊体験に変える
築年数の経った建物を見るときも、
結論を先に決めません。
古いから壊す。
古民家だから残す。
ではありません。
構造。
法規。
設備。
改修費。
用途。
将来性。
そして、
新築したら失うもの。
を見ます。
リノベーションする価値がある建物とは|古い建物を残すか建替えるか
建替えが最適なら建替える。
既存建物を使う方がよいなら活かす。
用途を変えた方がよければ用途転換する。
建てることだけを、答えにしない。
ということです。
一宮市の「森と川に咲く花」は、築70年の織物工場を再生した建築です。
コワーキング。
カフェ。
会議。
展示。
イベント。
学び。
など、複数の使われ方があります。
そして私は、この場所を設計しただけではなく、実際に運営にも関わっています。
完成後、
どこに人が座るのか。
どこで話が始まるのか。
使われない場所はどこなのか。
イベントになるとどう変わるのか。
ということを日々見ています。
建築は図面だけでは完結しない。
使われて初めて分かることが大量にある。
この経験は、店舗やオフィス、クリニックなど他の用途を設計するときにもつながっています。
土地活用では、
何戸入るのか。
家賃はいくらか。
利回りはどうか。
という数字が必要です。
ただ、それだけで計画すると、
似た賃貸住宅が並ぶ可能性があります。
小牧市の6棟の戸建て賃貸では、
一戸一戸の独立性と、
建物同士の関係を考えました。
ここでも、
「賃貸住宅とはこういうもの」
からではなく、
この土地に、どんな暮らし方をつくるのか。
から考えています。
寺院となると、
住宅や店舗とは全く違う建築に見えます。
当然、必要な知識も違います。
でも、根にある問いは変わりません。
誰が来るのか。
どのように迎えるのか。
人と人がどう集まるのか。
地域とどうつながるのか。
次の世代へ何を残すのか。
用途が変わっても、
人と場所の関係を考える
という設計の根は同じです。
2.5m角の移動茶室「MA CUBE」は、建物としては非常に小さなものです。
大きな事業用建築とはスケールがまったく違います。
でも、
人と人。
人と自然。
身体と空間。
文化と建築。
という関係を考えています。
建築の大きさが変わっても、
私が見ているものは変わりません。
オフィス専門。
クリニック専門。
住宅専門。
店舗専門。
という設計事務所があります。
その専門性には、大きな強みがあります。
梶浦博昭環境建築設計事務所は少し違います。
用途を横断しています。
しかし、
何でもやるから専門がない
ということではありません。
私たちが積み重ねている専門性は、
人・場所・目的・将来を読み、その建築に必要な答えをつくること。
です。
同じクリニックでも、
院長が違えば答えは変わります。
同じ店舗でも、
商品が違えば答えは変わります。
同じ住宅でも、
家族が違えば答えは変わります。
同じ宿泊施設でも、
場所が違えば答えは変わります。
だから私は、
決まった形を繰り返すことより、
一つひとつの建築に、その人だけの理由を見つけること
を大切にしています。
梶浦博昭環境建築設計事務所の作品には、
木の建築もあります。
コンクリートの建築もあります。
古民家もあります。
非常に小さな建築もあります。
商業建築もあります。
医療施設もあります。
海外の建築もあります。
一見すると、
一つの作風には見えないかもしれません。
でも、それでいいと思っています。
建築を同じ形にすることより、その場所に必要な答えをつくることを優先しているからです。
形は違います。
用途も違います。
規模も違います。
それでも、設計するときに共通して考えているものがあります。
人はどう感じるか。
人はどう動くか。
その場所に何があるか。
何を残すべきか。
事業や暮らしは将来どう変わるか。
建物が完成したあと、そこでどんな時間が始まるか。
です。
建築家自身の美意識は必要です。
私にも、
光。
素材。
寸法。
静けさ。
人と自然の関係。
など、大切にしているものがあります。
でも、それを先に答えにはしません。
その人。
その場所。
その事業。
その将来。
を見ながら、
必要なものを選びます。
だから、
形から考えない。
使う人、場所、目的、将来から、その建築に必要な答えを考える。
これが私の設計です。
これまで、
古民家再生。
住宅。
店舗。
既存建築。
木造建築。
など、異なる建築に取り組んできました。
国土交通大臣賞をはじめ、国内外で評価をいただく機会もありました。
そして近年では、「蕎席 雅山」と「森と川に咲く花」という、
新築の飲食店と、築70年工場のリノベーションという全く異なる二つの建築が、MUSE Design Awards 2026でそれぞれ評価されました。
MUSE Design Awards 2026|金賞・銀賞受賞について
私にとってこれは、
一つの形を繰り返すのではなく、
それぞれの場所に必要な建築を考えてきたことへの一つの客観的評価でもあります。
もちろん、
クリニックならクリニックの実績。
店舗なら店舗の実績。
オフィスならオフィスの実績。
を見ることは重要です。
そのうえで、
この設計者は、こちらの話をどう聞くのか。
決まった形へ当てはめるのか。
事業や将来まで含めて考えるのか。
も見ていただきたいと思います。
梶浦博昭環境建築設計事務所では、一宮市を拠点に、名古屋・愛知・岐阜を中心として、
住宅。
オフィス。
自社ビル。
店舗。
飲食店。
クリニック。
宿泊施設。
寺院。
賃貸住宅。
古民家。
既存建築。
土地活用。
などの設計に携わっています。
「建替えるべきか分からない」
「古い建物を使えるか知りたい」
「クリニックを承継する」
「会社の新しい拠点を考えたい」
「土地をどう使えばよいか分からない」
「宿泊施設を始めたい」
という、まだ建物の答えが決まっていない段階からでも構いません。
むしろ、
答えが決まる前だからこそ、一緒に考えられることがあります。
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