「空き家が増えている。」「商店街に空き店舗が増えている。」「人通りが減った。」「若い人が地域から出ていく。」名古屋・愛知県・岐阜県・三重県でも、このような悩みを耳にする機会が増えています。では本当に問題は空き家なのでしょうか。空きビルなのでしょうか。
私たちは空間戦略家・一級建築士として、多くの地域や建物に関わる中で、少し違う景色を見ています。実は問題なのは建物そのものではありません。その建物が持つ価値を活かしきれていないことです。
なぜ今、古民家再生や宿泊施設リノベーション、商業施設設計、オフィス設計が地域再生の切り札として注目されているのでしょうか。今回は「地域資産」という視点から、その本質を考えてみたいと思います。
地方へ行くと、立派な建物が使われないまま残っています。昔は賑わった商店街。地域の工場。古民家。空き店舗。遊休不動産。どれもかつては地域の中心でした。しかし今では、「古いから仕方ない。」「人がいないから仕方ない。」そんな言葉で片付けられることも少なくありません。
私自身も設計相談の中で、「解体した方がいいですか」という相談を数多く受けてきました。しかし現地へ行くと、そこには数字では測れない価値が残っていることが多いのです。
地方衰退の原因は空き家ではありません。人が集まる場所の不足です。人口減少は確かに進んでいます。しかし人口が減っている地域でも、人が集まる場所には人が集まります。人気のカフェ。魅力的な宿。居心地の良い広場。地域に愛されるクリニック。採用に強いオフィス。共通しているのは、「居場所」があることです。
つまり問題の本質は建物ではなく、人と人との関係性を生み出す場所が減っていることにあります。
地方再生というと、大型開発。再開発。大型商業施設。観光施設。そんな話になりがちです。もちろん必要な場合もあります。しかし私は、それだけでは十分ではないと考えています。なぜなら地域の魅力は、大規模な建築だけで生まれるものではないからです。むしろ人の記憶に残る場所は、小さな建築であることが少なくありません。
古民家再生によるカフェ。空き店舗を活用した複合施設。古い倉庫を改修したオフィス設計。クリニックリノベーションによる地域交流の場。地域の魅力は、小さな場所から育つことがあります。
ここで必要になるのが、空間戦略という考え方です。私たちは建築を、「地域との関係性を設計する装置」だと考えています。空間価値向上とは建物を美しくすることではありません。人が集まる理由をつくることです。ブランド体験設計とは、ロゴや広告ではなく、その場所にいる時間そのものを価値に変えることです。
例えば宿泊施設リノベーション。宿そのものではなく、地域文化との接点をつくる。
例えば商業施設設計。店舗そのものではなく、地域の人が自然に集まる場をつくる。
その結果として差別化が生まれます。
人が集まる場所には共通点があります。視線が交わる距離。会話が生まれる余白。滞在したくなる素材感。地域を感じる風景。
例えば古民家再生。古材を残す。梁を見せる。庭を活かす。これは単なるデザインではありません。その土地の記憶を体験できる仕掛けです。
例えばオフィス設計。偶発的な会話が生まれる共有スペース。社員が誇りを持てる空間。地域との接点を持つラウンジ。これらは採用力や定着率に影響します。実際に職場環境とエンゲージメントの関連は多くの研究でも示されています。
空間は人の行動を変えます。行動は地域の未来を変えます。
なぜ地域に愛される場所は利益を生むのでしょうか。理由はシンプルです。人が繰り返し訪れるからです。口コミが起きるからです。紹介が生まれるからです。信頼が積み重なるからです。価格競争から抜け出す企業には共通点があります。機能だけではなく、意味を提供していることです。その意味を伝える最も大きなメディアが空間です。
だから設計は経営戦略なのです。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県には大きな可能性があります。製造業の歴史。宿場町の文化。城下町の記憶。木造建築の技術。古民家。町家。蔵。全国的に見ても豊かな建築資産が残っています。しかし活用されていない建物も少なくありません。
私たちは一宮を拠点に活動していますが、地域にはまだ見つけられていない価値が数多く眠っていると感じています。それらを活かすことが、これからの地方創生につながるのではないでしょうか。
これからの建築は、新しいものをつくる競争ではなく、価値を発見する競争になると思います。建築は地域資産です。古民家再生も。宿泊施設リノベーションも。商業施設設計も。オフィス設計も。本質は同じです。
その場所ならではの価値を見つけること。それが未来の差別化になります。
今回お伝えしたかったことは二つです。差別化とは派手なデザインではありません。人が集まり続ける理由をつくることです。
そして、地域再生の本質とは、空き家を減らすことではありません。地域に残された資産価値を再発見することです。建物は負債にもなります。
しかし見方を変えれば、未来をつくる資産にもなります。それを決めるのは建物ではなく、私たちの視点なのです。
もし今、空き家や遊休不動産の活用に悩んでいるなら。建て替えかリノベーションか迷っているなら。古民家再生や宿泊施設リノベーションを検討しているなら。あるいは商業施設設計やオフィス設計によって地域との関係性を深めたいと考えているなら。
まずは「何を建てるか」ではなく、「どんな価値を地域に残したいか」という視点から考えてみてください。建築には、人が集まる理由をつくる力があります。そして地域の未来を変える力もあります。
梶浦博昭環境建築設計事務所では、住宅・商業施設・オフィス・クリニック・宿泊施設・古民家再生まで、用途を超えて「資産価値を設計する空間戦略」という視点から取り組んでいます。
建物の再生だけではなく、地域の未来や事業の未来についても、ぜひ一緒に考えていければと思います。
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【関連記事】「空間戦略から考えるリノベーションの本質②」なぜ空き家や空きビルは地域の希望になれるのか
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事業の成長につながる空間戦略について、ご相談を承っております。
・店舗、宿泊施設、オフィスの再構築
・新規事業における空間戦略
・既存施設の価値向上
・体験価値を収益につなげるには、空間全体の設計が重要になります。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19754
・設計事務所の選び方 紹介で25年つづいてきた理由。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19721
・選ばれ続ける空間ブランディング、経営戦略。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19737
・問い合わせ https://kajiura-a.com/contact/
梶浦博昭環境建築設計事務所 https://kajiura-a.com/ 『空間 × 感性 × 経営』
~ 見えない価値を、設計する~【名古屋・愛知・岐阜・三重を中心に25年の実績】
建築家 梶浦博昭|note インスタ kajiuraarchitect
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にて新築工事・リノベーションの設計・監理の実績。
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