「空間戦略から考えるリノベーションの本質③」 なぜ人は古い建物に心を動かされるのか「ひとりごアート」

「空間戦略から考えるリノベーションの本質③」 なぜ人は古い建物に心を動かされるのか「ひとりごアート」

名古屋・愛知県・岐阜県・三重県の商業施設・オフィス・クリニック・宿泊施設・古民家再生「リノベーション」空間戦略から考える未来

~新築ではつくれない「時間価値」という資産~

【導入】

なぜ古民家や歴史ある建物は人を惹きつけるのか

古民家再生。宿泊施設リノベーション。歴史的建築の再活用。近年、名古屋・愛知県・岐阜県・三重県でもこうした取り組みが増えています。しかし不思議なことがあります。最新設備を備えた新築よりも、築100年の古民家に感動する人がいる。新しいホテルよりも、古い町家の宿を選ぶ人がいる。なぜでしょうか。

今回は空間戦略の視点から、「時間価値」という資産について考えてみたいと思います。

【共感】

私が古民家再生や宿泊施設リノベーションの相談を受けると、施主からよく聞く言葉があります。「この建物は古いから価値がないですよね」「建て替えた方が良いですよね」確かに築年数だけを見ればそうかもしれません。しかし実際に建物へ足を運ぶと、立派な梁がある。美しい庭がある。地域の記憶が残っている。そんな建物も少なくありません。

私たちは25年間の設計活動の中で、価値を失った建物よりも、価値に気づかれていない建物の方が圧倒的に多いと感じています。

【原因の再定義】

問題は古さではなく「価値の見方」にある

多くの人は建物を築年数で評価します。しかし人間は数字だけで判断しているのでしょうか。

環境心理学の研究では、木材や自然素材を感じる空間は、心理的な安心感や快適性を高める傾向があることが報告されています。

つまり、人は新しいから好きなのではない。心地良いから好きなのです。古い建物が持つ魅力は、築年数ではなく、そこに積み重なった時間にあります。

【一般解の否定】

新築=価値向上とは限らない

建築業界では長い間、古くなったら壊す。新しく建てる。という考え方が主流でした。もちろん新築には魅力があります。しかし商業施設設計でも、オフィス設計でも、クリニックリノベーションでも、差別化が難しくなっているのが現実です。なぜなら、設備やデザインだけでは選ばれなくなっているからです。SNS映えは一時的です。

本当に記憶に残る場所には、別の価値があります。

【新しい視点の提示】

これからは「時間価値設計」の時代

私は空間戦略を、「時間価値を編集する仕事」だと考えています。

古民家再生とは、古い建物を直すことではありません。時間を未来へ受け渡すことです。

宿泊施設リノベーションも同じです。歴史や文化を体験へ変える。

商業施設設計も同じです。地域の物語を価値へ変える。

それが本当の差別化です。

【具体】

時間価値はどのように設計できるのか

例えば、・古い梁を残す・既存の庭を活かす・地域木材を使う・昔の建具を再利用する・地域の歴史を展示する。これらは単なるデザインではありません。空間に物語をつくる行為です。

実際に宿泊施設リノベーションでは、地域性を感じる空間ほど口コミ評価が高まる傾向があります。

オフィス設計でも、企業の歴史を感じられる空間は、社員の帰属意識を高めます。

クリニックリノベーションでも、木質空間は安心感につながります。

【収益・経営への接続】

なぜ時間価値は利益につながるのか

人は機能だけで場所を選びません。感情で選びます。感情が動く↓記憶に残る↓再訪する↓紹介する↓利益につながる。この流れです。

だから価格競争から抜け出す企業は、設備競争ではなく体験価値競争をしています。設計は経営戦略なのです。

【地域性】

名古屋・愛知県・岐阜県・三重県だからできること

東海エリアには、古民家・町家・蔵・宿場町・繊維産業の歴史・ものづくり文化があります。これは全国的に見ても大きな資産です。地域の差別化とは、東京の真似をすることではありません。その土地にしかない物語を活かすことです。古民家再生や商業施設設計は、地域資産を未来へつなぐ重要な手段になります。

【未来提案】

これから選ばれる建築とは

人口減少。空き家増加。建築費高騰。こうした時代だからこそ、建築は「つくる」から「活かす」へ変わります。選ばれる建築とは、美しい建築ではありません。記憶に残る建築です。地域に愛される建築です。時間とともに価値が増す建築です。

【まとめ】

差別化とは何か

他と違うデザインではない。他と違う物語である。

リノベーションの本質とは何か

古い建物を直すことではない。時間価値を未来へ受け渡すことである。

なぜ人は古い建物に惹かれるのか

そこに刻まれた記憶と時間を感じるからである。

【行動喚起】

もし今、古民家再生を考えている方。宿泊施設リノベーションを検討している方。クリニックリノベーションで差別化したい方。商業施設設計やオフィス設計で価格競争から抜け出したい方。まずは建物の古さではなく、その建物が持つ時間価値に目を向けてみてください。

建築には、未来をつくる力があります。そして過去を未来へ受け渡す力もあります。

梶浦博昭環境建築設計事務所では、国土交通大臣賞を受賞した設計監理技術で、商業施設・オフィス・クリニック・宿泊施設・古民家再生まで、「資産価値を設計する空間戦略」という視点から取り組んでいます。建物の未来だけでなく、その場所に眠る価値についても、ぜひ一緒に考えていければと思います。

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【ご相談について】

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・体験価値を収益につなげるには、空間全体の設計が重要になります。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19754

・設計事務所の選び方 紹介で25年つづいてきた理由。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19721

・選ばれ続ける空間ブランディング、経営戦略。こちらで整理しています。https://kajiura-a.com/archives/blog/19737

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建築家 梶浦博昭|note   インスタ kajiuraarchitect

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