建築費高騰の今、建てるべきか待つべきか|新築・リノベーションの投資判断「ひとりごアート」

建築費高騰の今、建てるべきか待つべきか|新築・リノベーションの投資判断「ひとりごアート」

建築費が高い今、本当に建ててよいのでしょうか

新しい店舗をつくりたい。

自社ビルを建てたい。

クリニックを建替えたい。

古い建物をリノベーションしたい。

土地活用を始めたい。

でも見積りを見ると、

「思っていたより高い」

ということがあります。

すると当然、

「もう少し待った方がいいのではないか」

と考えます。

これは、とても合理的な迷いです。

建築は大きな投資です。

無理に今やる必要はありません。

一方で、

待つことにも費用や機会損失がある場合があります。

だから私は、

「今は高いから待ちましょう」

とも、

「今すぐ建てましょう」

とも一律には考えません。

まず、

その計画を今行う理由は何なのか

から考えます。


「建築費が高いから延期する」だけでは判断できない

例えば自社ビルが古くなっている場合。

あと5年使えば、

設備更新。

雨漏り対策。

空調交換。

修繕。

が必要になるかもしれません。

クリニックなら、

現在の動線が診療に合わなくなっている。

スタッフが働きにくい。

院長交代が迫っている。

ということもあります。

店舗なら、

今の場所では次の事業展開ができない。

新しい顧客層へ広げたい。

という場合もあります。

つまり、

建築を延期すると建築費は使わずに済みますが、

現在の建物を使い続けることで発生する別の負担

もあります。


「待つ」という選択にもコストがある

建物をつくらなければ、建築費は発生しません。

でも経営では、

家賃。

修繕費。

設備更新。

使いにくい動線。

不足している面積。

事業機会。

といったものも考える必要があります。

例えば、

現在のオフィスが狭くて採用計画に対応できない。

古い医院で次の診療体制をつくれない。

賃貸している店舗では新しい事業ができない。

という場合、

延期によって何も失わないとは限りません。

だから私は、

「建築費がいくらか」だけでなく、「何もしない場合に何が起きるか」

も比較します。


反対に、「今やらなければ」と焦る必要もない

ここも大切です。

建築費が高い。

土地を持っている。

事業を始めたい。

だから早く建てなければ。

と焦る必要はありません。

計画そのものがまだ整理できていないなら、

一度止まることも選択肢です。

誰が使うのか。

何のための建物なのか。

本当にその面積が必要なのか。

既存建物ではできないのか。

10年後も使うのか。

ここが曖昧な状態で工事を始める方が、大きなリスクになることがあります。

建てない判断も、建築計画の一部です。


まず「今やる理由」を確認する

建築計画を考えるとき、私はまず、

なぜ今なのか

を確認します。

例えば、

事業承継。

新規事業。

人員増加。

老朽化。

土地取得。

相続。

医院の診療体制変更。

賃貸契約の終了。

既存建物の限界。

などです。

理由によって、待てる期間が違います。

「いつか建てたい」

という計画と、

「2年後の院長交代までに医院を変える必要がある」

という計画では、時間の意味が違います。


選択肢① 今は建てない

検討した結果、

今は何もしない

という答えになることもあります。

既存建物がまだ十分使える。

事業計画が固まっていない。

資金計画に無理がある。

将来の方向がまだ読めない。

のであれば、

急いで大きな投資をしない

という判断もあります。

ただし、その場合も、

今後必要になる修繕。

建物の劣化。

設備更新。

将来の改修可能性。

程度は整理しておくと、次の判断がしやすくなります。


選択肢② 計画の規模を見直す

建築費が予算を超えたとき、

すべての仕様を少しずつ落とす

方法があります。

でも私は、その前に、

本当に必要な面積なのか

を見直します。

例えば、

使われない会議室。

過剰なバックヤード。

必要以上に大きな共用部。

将来必要になるかもしれないという理由だけで確保した部屋。

がないか。

一方で、

単純に面積を削ることで、

動線。

居場所。

働きやすさ。

事業価値。

まで失ってしまう場合もあります。

だから、

小さくすることと、価値を削ることを混同しない

ことが重要です。


選択肢③ 新築ではなく、既存建物を使う

新築を検討していたけれど、

既存建物をリノベーションして使えないか

という比較もあります。

梶浦博昭環境建築設計事務所では、

築70年の織物工場。

築70年の日本家屋。

築36年のクリニック。

など、既存建物を次の用途へつなげてきました。

リノベーション・既存建築再生

ただし、

リノベーション=安い

とは限りません。

構造。

耐震。

設備。

劣化。

法規。

用途。

によっては、新築の方が合理的です。

だから、価格だけではなく比較します。

建替えか、リノベーションか|既存建築の「残す価値」を考える


選択肢④ 一度に全部やらず、段階的に改修する

事業を続けている建物では、

一度に全面改修することが難しい場合があります。

そこで、

第一期。

第二期。

というように工事を分ける方法があります。

森整形外科でも、築36年の既存建物を使いながら段階的にリノベーションしています。

【建築事例】森整形外科 1Fリノベーション

【建築事例】森整形外科 2Fリノベーション

ここで重要なのは、

第一期だけを考えないことです。

将来第二期で工事する場所。

設備。

動線。

接続。

を先に考えておかなければ、

後でやり直しが発生することがあります。

段階的に建てるなら、全体を考えてから分ける。

これが大切です。


選択肢⑤ それでも「今、新築する」

もちろん、

比較した結果、

今新築する

という答えもあります。

春日井市の「蕎席 雅山」は新築です。

【建築事例】蕎席 雅山

既存建物を使うことだけが正しいわけではありません。

新しい事業。

敷地条件。

必要な空間。

今後の使い方。

を考え、

新築だからこそ実現できることがあります。

雅山では、

庭。

深い軒。

アプローチ。

東濃檜。

山への視線。

まで含めて、一つの飲食体験をつくっています。

新築かリノベーションかは思想ではなく、結果です。

その場所、その事業に必要な答えを選びます。


建築費を比較するとき、「坪単価」だけでは分からない

建築計画では、

坪単価はいくらか

が気になります。

重要な数字です。

でも、新築とリノベーションを比較するとき、

坪単価だけでは判断しにくいことがあります。

新築では、

建物そのものを新しくつくります。

既存建築では、

すでにある構造や空間を使える一方、

解体。

補強。

設備更新。

既存部分との調整。

が必要になります。

さらに、

土地を買う必要があるのか。

現在の建物を所有しているのか。

営業を続けながら工事するのか。

でも変わります。

だから、

工事費だけではなく、計画全体の費用を見る

必要があります。


投資回収だけで建築を判断できるか

事業建築では、

何年で回収できるか

という考え方は重要です。

ただし、

すべてを直接的な売上だけで測ることは難しい場合があります。

例えばオフィスなら、

社員が使う環境。

来客が受ける印象。

今後の組織変更への対応。

クリニックなら、

患者さんの使いやすさ。

スタッフ動線。

診療内容の変化。

があります。

これらを、

「何円の利益になるか」

だけで正確に計算することは困難です。

だから私は、

数字で比較できるものと、長期的に事業を支えるものを分けて考える

ようにしています。


「高い建築」と「価値のある建築」は違う

建築費が高いほど、

良い建築になるわけではありません。

高価な材料。

高価な設備。

大きな面積。

を使えば、自動的に価値が高くなるわけでもありません。

反対に、

安ければ合理的

とも限りません。

必要なところまで削れば、

あとで使いにくくなったり、

追加工事が必要になったりします。

だから、

予算の大きさより、何のためにどこへ使うか。

を考えます。

建築費が高騰しているときほど、この判断は重要になります。


建築費を削るなら、価値ではなく「不要なもの」を削る

予算調整では、

床。

壁。

天井。

設備。

面積。

などを見直します。

でも、

何でも同じ割合で削る必要はありません。

建物の目的によって、

守るべきもの

があります。

店舗なら、顧客が体験する重要な場所。

オフィスなら、働き方を支える場所。

クリニックなら、患者・スタッフ動線。

既存建築なら、残すことで価値になる部分。

です。

以前の記事では、

建築費高騰の中で「何を削り、どこへ予算を集中するか」

を具体的に考えています。

今回の記事では、その一段前、

そもそも今この計画を進めるべきか

を考えています。

この二つは分けた方が判断しやすくなります。


建築計画を延期するか判断する5つの視点

私は、大きな建築投資を迷っている場合、少なくとも次の5つを整理します。

1.今やらなければ何が起きるか
修繕費、家賃、事業機会、働き方など。

2.今やることで何が変わるか
事業、診療、働き方、土地活用など。

3.新築以外の方法はないか
既存活用、部分改修、用途転換を比較する。

4.一度に全部やる必要があるか
段階改修や将来工事を検討する。

5.10年後も必要な建物か
現在だけでなく将来の事業まで考える。

この5つを考えたうえで、

今やる。

縮小する。

リノベーションにする。

段階的に行う。

延期する。

という判断をします。


建築費高騰時代ほど、「図面を描く前」が重要になる

建築計画というと、

設計事務所に頼んで図面を描く

ところから始まると思われるかもしれません。

でも本当は、その前があります。

何のために建てるのか。

既存建物は使えないか。

今やる必要があるのか。

必要な面積はいくらか。

将来どう使うのか。

この判断を間違えると、

その後の設計で細かくコスト調整しても、根本的には大きく変えられません。

だから、

建築費が高い時代ほど、設計前の判断にお金をかけないことの方が危険

だと私は考えています。


「建てることだけを、答えにしない」

設計事務所へ相談したら、

建てる方向へ進められるのではないか。

と思われるかもしれません。

でも私は、

建てることだけを、答えにしない。

という考えを大切にしています。

現在の建物を使う。

部分的に直す。

用途を変える。

少し待つ。

新築する。

建替える。

選択肢があります。

最終的に大切なのは、

建築家が何を建てたいかではなく、その人、その事業、その場所の将来に何が必要なのか

です。


建築相談カフェ|「今建てるべきか」の段階から相談できます

梶浦博昭環境建築設計事務所では、一宮市を拠点に、愛知・名古屋・岐阜を中心として、

店舗。

オフィス・自社ビル。

クリニック。

宿泊施設。

土地活用・賃貸住宅。

既存建築。

古民家。

住宅。

などの新築・リノベーション・用途転換・建替えを設計しています。

「建築費が上がり、計画を進めるべきか迷っている」

「今建てるべきか、数年待つべきか」

「新築からリノベーションへ変更できないか」

「規模を小さくできないか」

「一度に工事せず、段階的にできないか」

「既存建物をもう少し使えないか」

という段階からでも構いません。

建てると決めてから相談する必要はありません。

まず選択肢を並べ、

それぞれのメリット・デメリットを考えるところから始めます。

梶浦博昭環境建築設計事務所では、建物をつくる前から相談できる**「建築相談カフェ(90分・無料)」**を行っています。

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