遊休地・相続した土地をどう活かす? 集合住宅・戸建て賃貸を「戸数」だけで考えない土地活用 「ひとりごアート」

遊休地・相続した土地をどう活かす? 集合住宅・戸建て賃貸を「戸数」だけで考えない土地活用 「ひとりごアート」

土地活用は、「何を建てるか」から始めなくていい

土地を所有しているけれど、使い道が決まっていない。

親から土地を相続したものの、自分で住む予定はない。

売却するのか。
残すのか。
駐車場にするのか。
賃貸住宅を建てるのか。

土地を持つことで、こうした悩みが生まれることがあります。

特に相続した土地では、

「せっかく受け継いだ土地だから、できれば残したい」

という気持ちと、

「このまま維持していてよいのだろうか」

という現実的な問題が同時にあります。

私は、こうした相談を受けたとき、最初から

「アパートを建てましょう」

とは考えません。

まず考えたいのは、

この土地には、どんな可能性があるのか。

ということです。

土地活用は、空いている土地に建物を置くことではありません。

その土地を、これからも価値を生み続ける場所へ変えていくこと。

そこから考えます。


遊休地だからといって、すぐに建てる必要はない

遊休地や相続した土地には、さまざまな選択肢があります。

  • 集合住宅
  • 戸建て賃貸
  • 店舗
  • 事業用建物
  • 駐車場
  • 既存建物の活用
  • 売却
  • あえて今は建てない

どれが正しいかは、土地によって違います。

駅からの距離。
道路との関係。
土地の広さや形。
周辺の建物。
地域の人口や世帯構成。
どんな住まいが不足しているのか。
所有者が将来その土地をどうしたいのか。

こうした条件を読まずに、建物の商品だけを選んでも、その土地に合った答えになるとは限りません。

だから私たちは、

「何が建てられるか」より先に、「この土地をどう使うと価値が生まれるか」を考えます。


集合住宅は、一つの答えであって、最初からの答えではない

遊休地や相続した土地を長期的に所有する場合、集合住宅や戸建て賃貸は有力な選択肢の一つです。

ただ、

「土地があるからアパートを建てる」

だけでは十分ではありません。

周辺の家賃。
需要。
建築費。
維持管理費。
入居者像。
将来の修繕。
長期的な資産価値。

そして、もう一つ大切なのが、

「なぜ、この賃貸住宅を選んでもらえるのか。」

という視点です。

新築時は、どんな建物でも「新しい」という価値があります。

しかし10年、20年経てば、その優位性はなくなります。

そのときにも、

「ここに住みたい」

と思ってもらえる理由が残っているか。

土地活用として賃貸住宅をつくるなら、そこまで考えておく必要があります。


小牧市で考えた、6棟の戸建て型賃貸住宅

愛知県小牧市で、6戸の賃貸住宅を設計しました。

【建築事例】小牧市・6棟の戸建て型賃貸住宅

一般的な集合住宅であれば、一つの建物に住戸をまとめる方法があります。

しかし、この土地ではそうしませんでした。

6棟の建物を、あえて離して配置しました。

集合住宅でありながら、戸建て住宅に近い暮らし方をつくろうと考えたからです。

隣の住戸との距離を取る。

視線が直接ぶつからないようにする。

生活音を意識しすぎなくてもよい関係をつくる。

自分の家へ帰ってきたように感じられる。

集まって住んでいるけれど、少し離れている。

その距離感を建築でつくりました。


「何戸入るか」だけでは、土地の価値は決まらない

収益物件を計画すると、

「この敷地なら何戸入りますか?」

という話になります。

戸数は重要です。

建築費も、家賃も、収支も重要です。

ただ、

一戸でも多く入れることが、必ずしも土地の価値を最大化するとは限りません。

小牧の計画では、建物と建物の間にあえて余白をつくりました。

緑がある。
人が歩く。
視線が抜ける。
住戸同士の距離が生まれる。

数字だけを見れば、「建物が建っていない場所」です。

しかし、その余白があることで、プライバシーや開放感が生まれます。

つまり、

建てない場所も、賃貸住宅の商品価値をつくっている。

ということです。

土地活用は、敷地を隙間なく建物で埋めることだけではありません。

土地全体を使って、住む価値をつくる。

そこにも設計の役割があります。


普通の賃貸住宅とは違う、「選ぶ理由」をつくる

この6棟の住宅には、六角形の平面、吹き抜け、木の素材感など、それぞれに特徴があります。

奇抜な建築をつくることが目的ではありませんでした。

目指したのは、

「ほかの物件ではなく、ここに住みたい」と思う理由をつくること。

玄関を開けたときの空間。

上へ抜ける視線。

木の質感。

隣の住戸との距離。

外部の緑や余白。

そうした体験の積み重ねが、物件の違いになります。

この計画では、完成前から入居が決まり始めました。

もちろん、賃貸住宅の入居は建築だけで決まりません。

立地、家賃、時期、募集条件など、多くの要因があります。

それでも、建築によって「選ぶ理由」をつくることはできる。

そのことを実感した計画でした。


相続した土地こそ、「とりあえず建てる」前に考える

相続によって、突然土地を所有することがあります。

自分で選んで購入した土地ではないため、

「この土地をどうしたらよいのだろう」

というところから始まる場合もあります。

そんな土地こそ、急いで建物を決める必要はありません。

売る。
残す。
貸す。
建てる。
一部だけ使う。

いくつかの選択肢を比べながら、

10年後、20年後、この土地をどう残したいのか。

まで考えます。

賃貸住宅をつくる場合でも、単に家賃収入を得るだけではなく、土地そのものを将来へどう受け継いでいくかという視点が必要です。

なお、相続税・固定資産税などの税務については、土地や所有状況によって条件が異なります。具体的な税務判断は、税理士などの専門家への確認が必要です。

設計事務所が考えるのは、そのうえで、

この土地にどんな建築を置けば、長く価値を保てるのか。

という部分です。


土地活用の提案を受ける前に、土地そのものを見る

土地活用では、

土地を見る

何戸入るか計算する

建築費と家賃を計算する

収支を見る

という進め方があります。

もちろん、事業として数字の検討は欠かせません。

ただ、その前に一度、

「この土地には、ほかにどんな可能性があるのか」

を考えてみる価値があります。

戸建て型賃貸にする。

小規模な集合住宅にする。

店舗と住宅を組み合わせる。

庭を共有する。

建物を分散させる。

既存建物を残して使う。

敷地の一部だけを活用する。

土地によって、答えは変わります。

建物の商品を選ぶ前に、土地の可能性を考える。

設計事務所に土地活用を相談する意味の一つは、ここにあります。


土地活用は、「建てられるもの」より「選ばれるもの」から考える

遊休地を見ると、

「ここに何戸入るだろう」

と考えがちです。

しかし私たちは、その一歩前に、

「ここに、どんな人が住みたいと思うだろう。」

と考えます。

その土地だからできる暮らし方。

その地域で求められている住まい。

そこでしか得られない体験。

それが見つかれば、単なる賃貸住宅ではなく、その土地ならではの不動産になります。

土地を埋めるための建築ではなく、土地の価値を引き出すための建築。

集合住宅や戸建て賃貸を考えるとき、私たちはその視点を大切にしています。


「建てる・売る」を決める前から相談できる

土地活用というと、

「アパートを建てたい」

「戸建て賃貸をつくりたい」

と決まってから設計事務所へ相談するものと思われるかもしれません。

しかし、もっと前から考えることができます。

「相続した土地を残すべきか分からない」

「遊休地があるが、何に向いているのか分からない」

「集合住宅が適しているのか判断できない」

「ハウスメーカーから提案を受けているが、別の可能性も知りたい」

そんな段階からでも構いません。

人も、場所も、目的も違う。
だから、建築の答えも一つではありません。

土地についても同じです。

まず土地を読み、所有者の考えを聞き、事業としての条件を整理する。

そこから、

建てるのか。
残すのか。
売るのか。
何を建てるのか。

を考えていきます。


建築相談カフェ|遊休地・相続した土地の活用から相談できます

梶浦博昭環境建築設計事務所は、愛知県一宮市を拠点に、名古屋・愛知・岐阜・三重を中心として、集合住宅、戸建て賃貸、店舗、オフィスなどの新築・リノベーション、既存建築活用を設計しています。

遊休地や相続した土地についても、

「何を建てるか」

が決まっている必要はありません。

一つひとつの建築に、その人だけの理由がある。
その想いに向き合い、建築を考える。

土地の特徴、周辺環境、将来の使い方、想定する入居者、事業としての条件を整理しながら、その土地に合った選択肢を一緒に考えます。

梶浦博昭環境建築設計事務所では、建物をつくる前から相談できる**「建築相談カフェ(90分・無料)」**を行っています。


関連記事・建築事例

梶浦博昭環境建築設計事務所
https://kajiura-a.com/

建築家 梶浦博昭|note
https://note.com/kajiura_arch

Instagram|@kajiuraarchitect
https://www.instagram.com/kajiuraarchitect/

お知らせ / News