【調剤薬局は、なぜ閉じているのだろう】
薬を受け取る場所では、患者には見えないことがたくさんあります。薬剤師がどこで作業しているのか。どんな様子で薬が用意されているのか。中に誰がいるのか。もちろん、プライバシーや安全への配慮は必要です。しかし、すべてを閉じてしまうことが、本当に安心につながるのだろうか。そこから、この調剤薬局の設計が始まりました。
【「見えること」を安心につなげる】
この建築では、外と中、待合と調剤室の関係をできるだけ閉ざしすぎないようにしています。駐車場から建物へ近づくと、内部の気配が自然に感じられる。待合からも、薬剤師が働いている様子が分かる。すべてを見せるのではなく、「人がいること」「丁寧に仕事が行われていること」が伝わる程度に見える。その距離感を大切にしました。
【近すぎず、遠すぎない距離をつくる】
調剤薬局では、開放すればよいというものでもありません。患者にはプライバシーが必要です。薬剤師には集中して仕事をする環境が必要です。そこで、壁で完全に分けるのではなく、視線や距離を調整しながら、つながっているけれど、落ち着いていられる関係をつくりました。建築で考えたのは、部屋の配置だけではありません。人と人との距離そのものです。
【木と光で、医療空間の緊張をやわらげる】
調剤薬局は、体調の良くない人や、不安を抱えた人が訪れる場所でもあります。だからこそ、機能だけでなく、そこでどう感じるかを大切にしました。木の質感。自然光。外とのつながり。医療施設だからといって、無機質である必要はありません。少し気持ちがほどけることも、空間にできることの一つです。
【調剤室は、裏方でなくてもいい】
一般的には、調剤室は患者から見えにくい場所にあります。しかし、この計画では、その仕事の一部が感じられるようにしました。薬剤師の仕事を見せるためではありません。きちんと人が働き、自分の薬が用意されていることが伝わる。その小さな安心が、患者と薬局の距離を少し近づけるのではないかと考えたからです。見えなかった仕事を、建築によって少しだけ見えるようにする。それが、この調剤薬局の大きな特徴です。
【薬局の本質から、建築を考える】
調剤薬局の設計では、何人待てるか。何人の薬剤師が働くか。駐車場を何台確保するか。といった機能はもちろん重要です。しかし、それだけでなく、患者にどんな気持ちで入ってきてほしいのか。薬剤師と患者は、どんな距離であるべきか。地域に対して、どんな薬局でありたいのか。そこまで考えることで、その薬局にしかない建築が見えてきます。この計画では、「見える化」そのものをデザインすることで、閉じがちな調剤薬局を、人の気配が伝わる場所へ変えました。こうした、事業の本質や人の関係から建築を考えることも、梶浦博昭環境建築設計事務所が考える調剤薬局設計・医療建築・空間ブランディング・空間戦略です。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、調剤薬局・クリニックなどの新築や改修をお考えでしたら、間取りや面積を固める前の段階からご相談ください。見えないものを、どう見せるか。そこから安心をつくることも、建築の仕事です。
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