【上質な家は、豪華である必要があるのか】
住宅を考えるとき、広いリビング。高価な設備。目を引くデザイン。そうしたものに意識が向きがちです。しかし、この家で大切にしたのは、毎日暮らしても、心地よさが続くこと。朝の光。木に触れる感覚。庭を眺める時間。家族と食卓を囲む時間。何もしない静かな時間。住まいの価値は、建物を見た瞬間だけではなく、そこで繰り返される日常の中にあると考えました。
【平屋だから、庭と暮らしを近づける】
この住宅は平屋です。生活のすべてが、庭と同じ高さにあります。部屋から部屋へ移動するときにも中庭が見える。座った場所から緑を感じる。室内と庭を別々に考えず、暮らしの中へ自然が入り込むようにしました。平屋の魅力は、階段がないことだけではありません。地面、庭、光、そして人の暮らしが近い。その距離感に、平屋ならではの豊かさがあります。
【中庭は、家の中心にある「静かな外」】
中庭は、建物を配置したあとに残った場所ではありません。最初から、暮らしの中心として考えました。光を届ける。風を通す。緑を見せる。外部からの視線を気にせず、外を感じる。晴れの日だけでなく、雨の日にも庭の表情が見える。家の中にいながら、季節とつながっている。中庭によって、室内だけでは生まれない時間を住まいの中につくりました。
【東濃檜は、暮らしに触れる素材】
この家には、岐阜県東白川村の東濃檜を使っています。木目。香り。手触り。年月とともに変わる色。木は、写真で見るだけでは分からない素材です。だから、東濃檜を「和風に見せるため」の装飾としてではなく、毎日の生活の中で人の身体に近い素材として使いました。触れ、使い、時間を重ねることで、建築が少しずつ暮らしになっていく。そこまでを、この住宅の完成と考えています。
【和と北欧は、なぜ自然になじむのか】
この住宅では、日本の木の空間に北欧家具を合わせています。一見すると異なる文化ですが、自然素材を大切にすること。形をつくりすぎないこと。人の身体に近い尺度で考えること。長く使うこと。日本建築と北欧デザインには、共通する感覚があります。だから、北欧家具を和の空間に「合わせた」のではありません。違う文化の中にある、同じ心地よさを重ねました。
【「和モダン」は、和風の部品を並べることではない】
格子。畳。木。障子。そうしたものを使えば、和モダンになるわけではありません。日本建築の魅力は、もっと目に見えにくいところにもあります。陰影。余白。軒。庭との距離。素材の手触り。内と外を完全に分けない感覚。この家では、昔の住宅を再現するのではなく、日本建築が大切にしてきた感覚を、現代の暮らしとしてつくり直すことを考えました。
【家具が置かれ、人が暮らして、初めて完成する】
住宅は、完成写真を撮った瞬間が完成ではありません。椅子が置かれる。テーブルに器が並ぶ。庭を見ながら食事をする。家族が話す。一人で静かに過ごす。そうした日常が入って、初めてその人の家になります。だから、建築だけを強く主張させるのではなく、家具や暮らしを受け止める余白を残しました。建築を見せる家ではなく、暮らす人の時間が美しく見える家へ。この住宅で目指したのは、そこです。
【住まいを考える前に、どんな時間を過ごしたいかを考える】
注文住宅では、何帖ほしいか。何部屋必要か。収納をどれだけ取るか。という話から始まりがちです。もちろん、どれも必要です。しかし、その前に、朝、どんな光の中で目覚めたいのか。どこから庭を眺めたいのか。どんな家具を長く使いたいのか。家族とどんな時間を過ごしたいのか。そこから考えると、間取りだけでは見つからない住まいが見えてきます。梶浦博昭環境建築設計事務所では、中庭、平屋、東濃檜といった建築要素を、形として使うのではなく、そこで過ごす時間を整えるためのものとして考えています。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、平屋住宅・中庭住宅・和モダン住宅・注文住宅をお考えでしたら、間取りを固める前の段階からご相談ください。上質な住まいとは、建物そのものを見せることではなく、そこで過ごす人の時間を、美しく整えることだと考えています。
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