一宮市尾西に静かに佇む、歴史ある日本家屋。その佇まいに敬意を払いながら、現代の美意識と技術を織り交ぜ、1階部分をひとつながりの上質なワンルーム空間へと再構成しました。かつて細かく仕切られていた間取りを、緩やかに回遊できる平面構成へと刷新し、空間に「めぐる心地よさ」を宿しています。
快適性の中核には、輻射式冷暖房パネルを採用。空間全体が穏やかな温湿度で満たされると同時に、自然なやわらかな空気が巡るよう、建築的配慮を重ねました。五感に響く居心地のよさは、滞在者の深層にまで穏やかに働きかけ、心身をほどくような体験をもたらします。
伝統の美と現代技術が融合したこの空間は、単なる住まいを超え、感性豊かな宿泊体験を提供する場(高級旅館やホテル等の宿泊施設)へと昇華することも可能になると感じました。実際に、「住まい手は、毎日が高級旅館で生活しているみたいです」と、この空間での生活を喜んでいただいています。空間そのものが物語を語り、ブランドの中核となる力、唯一無二の「空間ブランディング」のかたちがここにあります。
関連する建築事例 / Related Works