【都市の家は、開けば開くほど心地よいのか】
都市部の住宅では、明るくしたい。庭がほしい。大きな窓をつくりたい。と思っても、外からの視線が気になります。道路。隣家。人の動き。そこで私は、「外に開くのではなく、内側に開けばいいのではないか」と考えました。そこから八幡の家の設計が始まりました。
【外周を閉じることで、内側は自由になる】
敷地の外周には、御影石の壁をつくりました。外から見ると、住宅は静かに閉じています。しかし、その壁の内側には中庭があります。外部からの視線を抑えることで、室内からは大きく庭へ開くことができる。カーテンを閉めなくても落ち着いて過ごせる。閉じることが、開放感をつくる。一見すると矛盾する二つの感覚を、建築で両立させました。
【来客と暮らしの動線を分ける】
この住宅では、南側に来客動線、北側に生活動線を設けています。家族が日常を過ごす動きと、来客を迎える動きを無理に重ねない。それぞれを分けながら、半屋外のコリドールでつなぎました。そこには風が通り、光が入り、屋内とも屋外とも言い切れない場所が生まれています。動線は、移動するためだけのものではありません。家の中で人と人がどんな距離を取るかまで、動線によって変わります。
【中庭を、家の中心にする】
この家では、中庭が余った場所ではありません。室内の光。視線の抜け。風。緑。それらを住まいの中へ届ける中心です。室内とテラスの床材も連続させ、境界をできるだけ感じさせないようにしました。部屋の面積以上に、空間が広がって感じられる。家の広さは、床面積だけでは決まらない。視線がどこまで届くかも、住まいの広さをつくります。
【光は、窓だけから入るものではない】
中庭だけでなく、トップライトからも光を取り込んでいます。周囲に住宅がある都市の敷地では、横方向に窓を開けることだけが答えではありません。上から光を入れる。中庭から光を入れる。視線を守りながら、明るさをつくる。敷地条件に合わせて光の取り込み方そのものを考えています。
【石と塗壁が、静けさをつくる】
素材は、御影石や塗壁を中心に構成しています。派手な装飾はありません。光が当たり、陰影が生まれ、素材の表情が見えてくる。時間によって変わる明るさそのものが、建築の表情になります。静かな建築は、何もない建築ではありません。素材、光、庭、余白。それぞれが主張しすぎないことで、落ち着いた空間になります。
【プライバシーは、「閉じこもること」ではない】
都市住宅でプライバシーを確保しようとすると、窓を小さくする。カーテンを閉める。塀を高くする。という方法を考えがちです。しかし、それでは家の中まで閉じてしまうことがあります。八幡の家では、外部には閉じ、内部には開く。という考え方によって、プライバシーと開放感を同時につくりました。都市だから我慢するのではなく、都市だからこそできる住まい方があります。
【土地の条件から、住宅の答えを探す】
住宅を計画するとき、南向きだから。道路がこちらにあるから。隣家が近いから。と、条件に合わせて間取りを決めてしまいがちです。しかし、その条件を一度読み直すと、別の答えが見えてくることがあります。八幡の家では、都市の視線を避けることが、結果として中庭へ大きく開く建築につながりました。条件に合わせて我慢するのではなく、条件そのものを建築の個性に変える。それも、梶浦博昭環境建築設計事務所が考える中庭住宅・都市住宅・空間戦略です。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、中庭住宅・都市型住宅・注文住宅をお考えでしたら、間取りを決める前の段階からご相談ください。外から守ることと、内側で自由に暮らすことは、両立できます。
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