この調剤薬局は、薬を受け取る場所だけではなく、癒しと安心が満ちる“場”として設計されました。空間全体に木材をふんだんに用いることで、訪れる人の心に静かに寄り添い、身体だけでなく心までも包み込むような、あたたかい空気感を生み出しています。
木の自然な質感、柔らかな色調、ほんのりと香る木肌の匂い。そこには、病を抱える日常にほんの少しの余白を与える、やさしい力があります。
天井を高く設けることで、視線は自然と上を向き、気持ちも少し軽くなる。そんな建築のさりげない仕掛けが、人の不安にそっと寄り添い、感情の流れを整えてくれます。
待ち時間さえも、静けさとぬくもりの中で過ごすひとときとなり、会話は柔らかに、呼吸は深くなる。建築が持つ空間の力は、利用者とスタッフの間に穏やかな関係性を育み、対話の質さえも高めてくれます。
この空間は、自然とつながることで心をほどき、人の存在にやさしく寄り添う、「空間ブランディング」の一つの理想形です。機能性にとどまらず、感性に働きかけることで、人の記憶に残る薬局体験をかたちにしています。
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