前面に広がるのは、五十メートルにおよぶ美しい田園風景。
その抜けのある眺望と、風の通り道を最大限に活かしながら、
自然の恵みを心地よく取り込む住まいが求められました。
建築地は、東西に細長いのどかな土地。
そのかたちを素直に活かすことで、
居間や寝室を南に、水まわりを北に配し、
暮らしの中心に、光と風と景色を迎え入れる構成としました。
さらにロフトを設けることで、
南北への風の抜けに加え、視線の縦方向への伸びも生まれ、
限られた空間に立体的な広がりと軽やかさを与えています。
深く張り出した庇は、夏の強い日差しを和らげ、
デッキに落ちる柔らかな反射光が、軒裏を介して室内へと届く――
自然の移ろいが室内に静かに織り込まれた設計です。
日常のひとときが、ふとした風景と重なり合い、
心がほどけるような時間をつくる。
この住まいは、「田園とともに呼吸する“暮らしの舞台”」として、
静かに、そして確かに、そこに在ります。
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