【海外で「日本らしい建築」をつくれば、本当に伝わるのか】
海外で日本の建築をつくるとき、和風にする。日本の素材を使う。伝統的な意匠を取り入れる。という方法があります。しかし私は、それだけではその土地に根づく建築にはならないと考えました。中国で建築するなら、「日本を持ち込む」のではなく、中国の文化とどう出会わせるか。そこから、この計画を考えました。
【中国庭園の考え方から、空間を組み立てる】
平面構成には、中国伝統庭園の考え方を取り入れています。中心。余白。開かれた場所。守られた場所。一度にすべてを見せるのではなく、歩くことで次の空間が現れる。そうした中国の空間文化を読みながら、建物と庭、人の動きを組み立てました。その土地の文化を、装飾ではなく空間の構成として取り込む。そこが、この建築の出発点です。
【そこに、日本の木造文化を重ねる】
中国の空間構成に、日本の木造文化を重ねました。使用したのは、岐阜県産の東濃檜です。木の色。香り。手触り。柱や梁がつくるリズム。単に日本らしい素材を見せるのではなく、身体で木を感じられる場所をつくっています。中国の庭園文化と、日本の木造文化。二つを混ぜて曖昧にするのではなく、それぞれの良さが見えるように並べる。その関係を大切にしました。
【開く場所と、守る場所をつくる】
宿泊施設や別荘には、人と過ごす場所。一人になる場所。外へ開く場所。プライバシーを守る場所。その両方が必要です。この計画では、空間同士の距離を調整しながら、開放性と落ち着きを共存させました。すべてを開くことが、豊かな空間とは限らない。見せる場所と、見せない場所。人が集まる場所と、静かに離れる場所。その間にある距離まで設計しています。
【日本と中国の職人が、一つの建築をつくる】
この建築では、日本と中国の職人が協働しました。設計図だけでは伝わらないことがあります。木の扱い方。納まり。素材への考え方。現場で話し合い、互いの技術を理解しながら、一つの建築をつくっていく。完成した建物だけでなく、つくる過程そのものにも二つの文化が交わっている。そこも、このプロジェクトの大切な部分です。
【「海外らしさ」も「日本らしさ」も、先に決めない】
海外案件では、「日本らしくしてください」「現地らしくしてください」という話になりがちです。しかし、本当に面白い建築は、そのどちらか一方を選ぶことからは生まれないことがあります。その土地には、何があるのか。依頼者は、何を大切にしているのか。日本から何を持っていく意味があるのか。現地から何を学ぶべきなのか。そこまで考えた結果として、建築の答えを探す。中国・張家港では、中国庭園の思想と日本の木造文化が出会うことそのものが建築になりました。
【宿泊施設は、「泊まる場所」だけではない】
これからの宿泊施設や別荘では、客室数。設備。眺望。立地。だけでは語れない魅力が必要になることがあります。そこでしか感じられない文化。素材。庭。時間。それらが一つにつながると、宿泊は単なる滞在ではなく、記憶に残る体験になります。その土地の文化と依頼者の想いを読み解き、建築として組み立てる。それも、梶浦博昭環境建築設計事務所が考える宿泊施設設計・別荘設計・海外建築・空間ブランディング・空間戦略です。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県、また海外で宿泊施設・別荘・事業用建築をお考えでしたら、デザインを決める前の段階からご相談ください。文化は、持ち込むものではなく、その土地で出会わせるものだと考えています。
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