「狭いから増やす」の前に、高さを見る。床面積を増やさず、断面・家具・使われていない上部空間まで設計することで、住宅から店舗・オフィス・クリニックまで既存建物の可能性を広げる 椿 面積を増やさず既存空間を立体的に使い切るリノベーション・既存建物活用 名古屋・愛知・岐阜

  • 愛知県北名古屋市

【「椿」は、既存住宅の8.5畳一室を、2つの子ども室へ変えた小さなリノベーションです】
8.5畳を単純に二つに分ければ、それぞれは4畳半にも満たない空間になります。そこで考えたのは、部屋を平面だけで考えないこと。床が足りないなら、上を見る。ベッドをロフトとして立体化し、その下を衣類収納として使うことで、限られた一室を上下方向まで使い切りました。小さな住宅リノベーションですが、ここには既存建物活用にとって大切な考え方があります。
〖既存建物を「何㎡あるか」だけで判断しない〗
建物について考えるとき、最初に見られるのは床面積です。何坪あるか。何㎡あるか。何室取れるか。しかし、人が実際に使っているのは床だけではありません。天井までの高さ。家具の上。収納の下。壁の厚み。人が動かない場所。既存建物には、床面積には表れない空間が残っています。椿では、その中でも「高さ」を使いました。面積を増やさず、使える場所を増やす。これも既存建物活用です。
〖増築する前に、今ある建物を使い切れるか〗
「場所が足りない」と感じると、増築する。広い建物へ移る。建て替える。という選択肢が先に出てきます。しかし、本当に建物が小さいのでしょうか。それとも、現在の使い方では空間を使い切れていないのでしょうか。既存建物活用では、この違いを見極めることが重要です。足りないものを足す前に、すでにある空間の中に余地が残っていないかを見る。椿は、その極めて小さな実例です。
〖家具と建築の境界をなくしてみる〗
通常なら、部屋をつくる。そこへベッドを置く。収納家具を置く。という順番で考えます。しかし、それでは限られた床を家具が占有していきます。そこで椿では、ベッドと収納を別々のものとして考えませんでした。上に眠る場所。下に収納する場所。一つの立体の中に二つの役割を持たせる。家具を置くのではなく、家具そのものを空間として考える。これによって、小さな既存空間の使い方が変わります。
〖非住宅では、床面積はそのまま事業コストになる〗
この考え方は、住宅以上に非住宅で重要になる場合があります。店舗やオフィスでは、床面積が大きくなれば家賃や取得費も大きくなります。だから、「必要だから広くする」だけが正解ではありません。限られた既存テナントの中で、収納を壁と一体化する。上下で機能を分ける。設備と家具を一体化する。使われていない高さを利用する。一つの場所に複数の役割を持たせる。面積を増やす前に、現在の容積をどう使い切るか。小さな店舗やオフィスほど、この設計判断が効いてきます。
〖小さな店舗は「狭さ」を消さなくてもいい〗
小規模店舗では、広く見せようとすることがあります。しかし私は、必ずしも広く見せる必要はないと思います。小さいから、商品との距離が近い。店主との会話が生まれる。素材を近くで感じられる。空間全体を一度に体験できる。という魅力もあります。必要なのは狭さを隠すことではなく、小さい空間だからこそ、何を濃くできるかを考えることです。既存建物活用では、面積の制約そのものが店舗の個性になる場合があります。
〖クリニックやオフィスでは「置き家具」を減らす〗
限られた既存テナントをクリニックやオフィスへ改修するときも、家具の考え方は重要です。収納家具をあとから並べれば、通路が狭くなる。棚を置けば、視線が遮られる。物が増えるほど、空間は小さくなっていきます。だったら、収納を壁と一体化する。ベンチと収納を一体化する。受付と家具を一体化する。間仕切り自体に役割を持たせる。建築と家具を別々に考えない。それだけでも、同じ床面積の使われ方は変わります。
〖面積ではなく「一つの場所に何役できるか」を考える〗
既存建物では、面積を自由に増やせないことが多くあります。だからこそ、一つの場所に一つの機能だけを割り当てない。収納でもあり、間仕切りでもある。ベンチでもあり、人が集まる場所でもある。展示でもあり、空間を分ける装置でもある。時間によって用途が変わる。一つの場所に二つ、三つの役割を持たせる。そう考えると、「もう少し広ければ」という問題を、建築の工夫で解けることがあります。
〖既存建物の価値は、延床面積だけでは測れない〗
不動産情報では、建物の価値が面積や築年数で示されます。それは大切な情報です。しかし設計するときには、その数字だけでは見えない部分があります。天井の高さ。柱と柱の間。窓の位置。使われていない上部空間。家具を置かなくても済む壁。時間によって共有できる場所。そうしたものまで読むと、「小さいと思っていた建物」が、まだ使い切られていなかったことに気づく場合があります。
〖既存建物活用は、建物を大きくすることではない〗
椿で行ったことは、とても小さなリノベーションです。8.5畳の一室を二つに分け、その限られた空間を立体的に使いました。しかし、この小さな設計から見えてくることがあります。床を増やさなくても、使える空間は増やせる。これは住宅だけでなく、小規模店舗。テナントオフィス。クリニック。サロン。ショールーム。既存ビルの一区画。などにも共通する考え方です。既存建物を見たとき、「何㎡しかない」で終わらない。高さを見る。断面を見る。家具を見る。時間を見る。まだ使われていない場所を探す。梶浦博昭環境建築設計事務所では、既存建物を大きくすることだけではなく、今ある建物を、どこまで使い切れるかから考えます。小さな建物だからこそ、設計できることがあります。

椿 面積を増やさず既存空間を立体的に使い切るリノベーション・既存建物活用 名古屋・愛知・岐阜

【「椿」は、既存住宅の8.5畳一室を、2つの子ども室へ変えた小さなリノベーションです】
8.5畳を単純に二つに分ければ、それぞれは4畳半にも満たない空間になります。そこで考えたのは、部屋を平面だけで考えないこと。床が足りないなら、上を見る。ベッドをロフトとして立体化し、その下を衣類収納として使うことで、限られた一室を上下方向まで使い切りました。小さな住宅リノベーションですが、ここには既存建物活用にとって大切な考え方があります。
〖既存建物を「何㎡あるか」だけで判断しない〗
建物について考えるとき、最初に見られるのは床面積です。何坪あるか。何㎡あるか。何室取れるか。しかし、人が実際に使っているのは床だけではありません。天井までの高さ。家具の上。収納の下。壁の厚み。人が動かない場所。既存建物には、床面積には表れない空間が残っています。椿では、その中でも「高さ」を使いました。面積を増やさず、使える場所を増やす。これも既存建物活用です。
〖増築する前に、今ある建物を使い切れるか〗
「場所が足りない」と感じると、増築する。広い建物へ移る。建て替える。という選択肢が先に出てきます。しかし、本当に建物が小さいのでしょうか。それとも、現在の使い方では空間を使い切れていないのでしょうか。既存建物活用では、この違いを見極めることが重要です。足りないものを足す前に、すでにある空間の中に余地が残っていないかを見る。椿は、その極めて小さな実例です。
〖家具と建築の境界をなくしてみる〗
通常なら、部屋をつくる。そこへベッドを置く。収納家具を置く。という順番で考えます。しかし、それでは限られた床を家具が占有していきます。そこで椿では、ベッドと収納を別々のものとして考えませんでした。上に眠る場所。下に収納する場所。一つの立体の中に二つの役割を持たせる。家具を置くのではなく、家具そのものを空間として考える。これによって、小さな既存空間の使い方が変わります。
〖非住宅では、床面積はそのまま事業コストになる〗
この考え方は、住宅以上に非住宅で重要になる場合があります。店舗やオフィスでは、床面積が大きくなれば家賃や取得費も大きくなります。だから、「必要だから広くする」だけが正解ではありません。限られた既存テナントの中で、収納を壁と一体化する。上下で機能を分ける。設備と家具を一体化する。使われていない高さを利用する。一つの場所に複数の役割を持たせる。面積を増やす前に、現在の容積をどう使い切るか。小さな店舗やオフィスほど、この設計判断が効いてきます。
〖小さな店舗は「狭さ」を消さなくてもいい〗
小規模店舗では、広く見せようとすることがあります。しかし私は、必ずしも広く見せる必要はないと思います。小さいから、商品との距離が近い。店主との会話が生まれる。素材を近くで感じられる。空間全体を一度に体験できる。という魅力もあります。必要なのは狭さを隠すことではなく、小さい空間だからこそ、何を濃くできるかを考えることです。既存建物活用では、面積の制約そのものが店舗の個性になる場合があります。
〖クリニックやオフィスでは「置き家具」を減らす〗
限られた既存テナントをクリニックやオフィスへ改修するときも、家具の考え方は重要です。収納家具をあとから並べれば、通路が狭くなる。棚を置けば、視線が遮られる。物が増えるほど、空間は小さくなっていきます。だったら、収納を壁と一体化する。ベンチと収納を一体化する。受付と家具を一体化する。間仕切り自体に役割を持たせる。建築と家具を別々に考えない。それだけでも、同じ床面積の使われ方は変わります。
〖面積ではなく「一つの場所に何役できるか」を考える〗
既存建物では、面積を自由に増やせないことが多くあります。だからこそ、一つの場所に一つの機能だけを割り当てない。収納でもあり、間仕切りでもある。ベンチでもあり、人が集まる場所でもある。展示でもあり、空間を分ける装置でもある。時間によって用途が変わる。一つの場所に二つ、三つの役割を持たせる。そう考えると、「もう少し広ければ」という問題を、建築の工夫で解けることがあります。
〖既存建物の価値は、延床面積だけでは測れない〗
不動産情報では、建物の価値が面積や築年数で示されます。それは大切な情報です。しかし設計するときには、その数字だけでは見えない部分があります。天井の高さ。柱と柱の間。窓の位置。使われていない上部空間。家具を置かなくても済む壁。時間によって共有できる場所。そうしたものまで読むと、「小さいと思っていた建物」が、まだ使い切られていなかったことに気づく場合があります。
〖既存建物活用は、建物を大きくすることではない〗
椿で行ったことは、とても小さなリノベーションです。8.5畳の一室を二つに分け、その限られた空間を立体的に使いました。しかし、この小さな設計から見えてくることがあります。床を増やさなくても、使える空間は増やせる。これは住宅だけでなく、小規模店舗。テナントオフィス。クリニック。サロン。ショールーム。既存ビルの一区画。などにも共通する考え方です。既存建物を見たとき、「何㎡しかない」で終わらない。高さを見る。断面を見る。家具を見る。時間を見る。まだ使われていない場所を探す。梶浦博昭環境建築設計事務所では、既存建物を大きくすることだけではなく、今ある建物を、どこまで使い切れるかから考えます。小さな建物だからこそ、設計できることがあります。

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