日本らしさを飾るのではなく、商業空間として「伝わる価値」に変える。中国・上海で、日本の素材や文化、美意識を伝えるために計画した商業建築です。 上海「和空間ショールーム1」 海外で日本文化を事業の魅力に変える商業建築 海外・上海・名古屋・愛知

  • 中国上海市

【海外で日本らしい空間をつくる】
和紙や格子、木、石など、日本を連想させる要素を並べるだけなら難しくありません。しかし、それだけでは「日本風」にはなっても、商業空間として人の記憶には残りません。この計画で考えたのは、日本文化を見せることではなく、その価値を空間として体験してもらうこと。そして、その体験が企業や商品の魅力につながる建築をつくることでした。
【商業建築は、商品だけを見せる場所ではない】
商業空間では、商品やサービスをどう見せるかが重要です。しかし私は、それだけでは足りないと考えています。その会社は、何を大切にしているのか。なぜ、この商品を扱うのか。どんな技術や文化が、その背景にあるのか。そこまで空間から感じられれば、商品を見る体験そのものが変わります。この建築では、「何を売るか」だけではなく、「なぜそれを届けるのか」まで伝えることを目指しました。商業建築は、商品を置くための器ではありません。その会社の考え方や姿勢まで、顧客に伝えることができます。
【海外では、「日本らしさ」を一度分解する】
日本人にとって自然に理解できる空間も、上海では同じように伝わるとは限りません。だからこの計画では、「日本らしく見せるにはどうするか」ではなく、「日本の空間の何に、人は魅力を感じるのか」から考え直しました。余白。静けさ。素材の手触り。光と影。奥行き。ものとものの距離。すべてを一度に見せない構成。そうした日本の空間文化にある感覚を抽出し、上海の人にも身体で感じられる商業空間へ置き換えています。形を輸出するのではなく、価値を翻訳する。これが、海外で商業建築を設計するときに大切にしたことです。
【「和風」にするより、記憶に残る体験をつくる】
商業建築では、第一印象も大切です。しかし、派手なデザインだけでは印象は長く続きません。一歩入る。少し暗い場所を通る。その先に光が見える。素材に近づく。さらに奥へ進む。歩くことで少しずつ空間が現れる。この建築では、一度にすべてを見せるのではなく、人が動くことで体験が変化する空間をつくりました。商品を見る前に、空間を感じる。空間を感じたあとで、素材や商品を見る。その順序によって、同じものでも受け取られ方は変わります。商業空間では、動線そのものがブランド体験になります。
【商品の背景にある「文化」まで伝える】
価格や性能だけで比較されると、商品は競争の中に埋もれていきます。しかし、その商品にしかない素材、技術、文化、つくり手の考え方まで伝われば、見え方は変わります。この建築では、日本の素材を単なる仕上げ材として扱いませんでした。木。石。和紙。一つひとつの質感や表情が、空間の中で感じられるようにしています。自然素材には均一ではない美しさがあります。色の違い。木目。手触り。光を受けたときの変化。それらを消さずに見せることで、素材そのものが、日本のものづくりの背景を語る。商業建築だからこそ、商品と空間を別々に考えず、一つの体験としてつなげました。
【上海だからこそ、日本をそのまま持ち込まない】
海外で商業施設をつくるとき、日本で成功したものをそのまま移植してもうまくいくとは限りません。文化が違います。都市のスピードも違います。人の感覚も違います。だから必要なのは、日本側の考え方を守りながら、現地でどう伝わるかを考えること。この建築では、日本文化を上海へそのまま再現するのではなく、上海という都市の中で新しく成立する空間へ変換しました。日本の美意識と、中国の都市文化。どちらか一方に合わせるのではなく、その間に新しい商業空間をつくる。そこに、海外建築ならではの可能性があります。
【商業空間は、企業の姿勢そのものを伝える】
商業建築を設計するとき、私は商品だけを見ることはありません。その会社が何を大切にしているのか。誰に届けたいのか。どう見られたいのか。どんな体験をつくりたいのか。そこまで理解したうえで建築を考えます。この上海のプロジェクトでも、「日本らしく見える空間をつくる」ことが最終目的ではありませんでした。日本の素材や文化を大切に扱う企業であることを、空間そのものから感じてもらう。そのための建築です。看板や広告だけでは伝えきれないものを、場所そのものが伝える。私はそこに、商業建築の大きな役割があると考えています。
【空間が、価格以外の「選ぶ理由」をつくる】
商業の世界では、多くの商品が比較されます。価格。性能。立地。知名度。しかし、それだけではない理由で人が選ぶこともあります。「この場所が好きだ」「この考え方に共感する」「この会社なら信頼できそうだ」そう感じてもらえることも、商業空間の力です。この建築では、日本文化そのものを売り込むのではなく、その背景にある美意識やものづくりへの姿勢が、自然に伝わる状態をつくりました。商品を売るために建築を派手にするのではありません。商品や企業が持っている価値を見つけ、それが最も伝わる状態をつくる。それが、私が商業建築で大切にしていることです。
【海外商業建築は、異文化の間に「選ばれる理由」をつくる】
海外に出ると、それまで当たり前だった企業の魅力が伝わらなくなることがあります。日本では説明しなくても理解される価値が、海外では伝わらない。だからこそ、何を残し、何を変えるのかを考える必要があります。この上海「和空間ショールーム1」では、日本の形をコピーするのではなく、日本の文化、美意識、素材への考え方を読み解き、上海で伝わる商業空間へ翻訳しました。文化が違うからこそ、建築にできることがあります。企業が本当に伝えたい価値を見つけ、その土地で理解される形に変換する。それが、梶浦博昭環境建築設計事務所が海外の商業建築で考える空間ブランディングであり、空間戦略です。建築は商品を並べる背景ではなく、その企業を選ぶ理由そのものになり得ます。

上海「和空間ショールーム1」 海外で日本文化を事業の魅力に変える商業建築 海外・上海・名古屋・愛知

【海外で日本らしい空間をつくる】
和紙や格子、木、石など、日本を連想させる要素を並べるだけなら難しくありません。しかし、それだけでは「日本風」にはなっても、商業空間として人の記憶には残りません。この計画で考えたのは、日本文化を見せることではなく、その価値を空間として体験してもらうこと。そして、その体験が企業や商品の魅力につながる建築をつくることでした。
【商業建築は、商品だけを見せる場所ではない】
商業空間では、商品やサービスをどう見せるかが重要です。しかし私は、それだけでは足りないと考えています。その会社は、何を大切にしているのか。なぜ、この商品を扱うのか。どんな技術や文化が、その背景にあるのか。そこまで空間から感じられれば、商品を見る体験そのものが変わります。この建築では、「何を売るか」だけではなく、「なぜそれを届けるのか」まで伝えることを目指しました。商業建築は、商品を置くための器ではありません。その会社の考え方や姿勢まで、顧客に伝えることができます。
【海外では、「日本らしさ」を一度分解する】
日本人にとって自然に理解できる空間も、上海では同じように伝わるとは限りません。だからこの計画では、「日本らしく見せるにはどうするか」ではなく、「日本の空間の何に、人は魅力を感じるのか」から考え直しました。余白。静けさ。素材の手触り。光と影。奥行き。ものとものの距離。すべてを一度に見せない構成。そうした日本の空間文化にある感覚を抽出し、上海の人にも身体で感じられる商業空間へ置き換えています。形を輸出するのではなく、価値を翻訳する。これが、海外で商業建築を設計するときに大切にしたことです。
【「和風」にするより、記憶に残る体験をつくる】
商業建築では、第一印象も大切です。しかし、派手なデザインだけでは印象は長く続きません。一歩入る。少し暗い場所を通る。その先に光が見える。素材に近づく。さらに奥へ進む。歩くことで少しずつ空間が現れる。この建築では、一度にすべてを見せるのではなく、人が動くことで体験が変化する空間をつくりました。商品を見る前に、空間を感じる。空間を感じたあとで、素材や商品を見る。その順序によって、同じものでも受け取られ方は変わります。商業空間では、動線そのものがブランド体験になります。
【商品の背景にある「文化」まで伝える】
価格や性能だけで比較されると、商品は競争の中に埋もれていきます。しかし、その商品にしかない素材、技術、文化、つくり手の考え方まで伝われば、見え方は変わります。この建築では、日本の素材を単なる仕上げ材として扱いませんでした。木。石。和紙。一つひとつの質感や表情が、空間の中で感じられるようにしています。自然素材には均一ではない美しさがあります。色の違い。木目。手触り。光を受けたときの変化。それらを消さずに見せることで、素材そのものが、日本のものづくりの背景を語る。商業建築だからこそ、商品と空間を別々に考えず、一つの体験としてつなげました。
【上海だからこそ、日本をそのまま持ち込まない】
海外で商業施設をつくるとき、日本で成功したものをそのまま移植してもうまくいくとは限りません。文化が違います。都市のスピードも違います。人の感覚も違います。だから必要なのは、日本側の考え方を守りながら、現地でどう伝わるかを考えること。この建築では、日本文化を上海へそのまま再現するのではなく、上海という都市の中で新しく成立する空間へ変換しました。日本の美意識と、中国の都市文化。どちらか一方に合わせるのではなく、その間に新しい商業空間をつくる。そこに、海外建築ならではの可能性があります。
【商業空間は、企業の姿勢そのものを伝える】
商業建築を設計するとき、私は商品だけを見ることはありません。その会社が何を大切にしているのか。誰に届けたいのか。どう見られたいのか。どんな体験をつくりたいのか。そこまで理解したうえで建築を考えます。この上海のプロジェクトでも、「日本らしく見える空間をつくる」ことが最終目的ではありませんでした。日本の素材や文化を大切に扱う企業であることを、空間そのものから感じてもらう。そのための建築です。看板や広告だけでは伝えきれないものを、場所そのものが伝える。私はそこに、商業建築の大きな役割があると考えています。
【空間が、価格以外の「選ぶ理由」をつくる】
商業の世界では、多くの商品が比較されます。価格。性能。立地。知名度。しかし、それだけではない理由で人が選ぶこともあります。「この場所が好きだ」「この考え方に共感する」「この会社なら信頼できそうだ」そう感じてもらえることも、商業空間の力です。この建築では、日本文化そのものを売り込むのではなく、その背景にある美意識やものづくりへの姿勢が、自然に伝わる状態をつくりました。商品を売るために建築を派手にするのではありません。商品や企業が持っている価値を見つけ、それが最も伝わる状態をつくる。それが、私が商業建築で大切にしていることです。
【海外商業建築は、異文化の間に「選ばれる理由」をつくる】
海外に出ると、それまで当たり前だった企業の魅力が伝わらなくなることがあります。日本では説明しなくても理解される価値が、海外では伝わらない。だからこそ、何を残し、何を変えるのかを考える必要があります。この上海「和空間ショールーム1」では、日本の形をコピーするのではなく、日本の文化、美意識、素材への考え方を読み解き、上海で伝わる商業空間へ翻訳しました。文化が違うからこそ、建築にできることがあります。企業が本当に伝えたい価値を見つけ、その土地で理解される形に変換する。それが、梶浦博昭環境建築設計事務所が海外の商業建築で考える空間ブランディングであり、空間戦略です。建築は商品を並べる背景ではなく、その企業を選ぶ理由そのものになり得ます。

関連する建築事例 / Related Works