【古い工場を、壊さずに活かせないか】
計画の始まりにあったのは、築70年を経た繊維工場でした。古い。暗い。今の使い方には、そのままでは合わない。壊して新しくすることもできます。しかし私は、「この建物が過ごしてきた時間そのものを、次の価値にできないか」と考えました。古さを消すのではなく、残す。そこから設計が始まりました。
【工場から、人が集まる場所へ】
かつて一つの用途のために使われていた工場を、いくつもの過ごし方が共存する場所へ変えました。静かに仕事をするコワーキング。人と話すカフェ。打ち合わせをする部屋。展示や講座を行う場所。屋外へつながるテラス。用途を一つに決めすぎず、人がそれぞれの距離感で居られる場所を重ねています。
【人を集めるために、あえて静かな場所をつくる】
人が集まる場所というと、賑わいをつくることばかり考えがちです。でも、実際に長く過ごしたくなる場所には、静けさも必要です。一人で集中できる。誰かと話せる。少し離れて過ごせる。その選択肢があることで、人は無理なく同じ場所にいられます。森と川に咲く花では、ライブラリーやワークスペースに静けさをつくり、カフェやイベント空間とは違う時間を用意しました。人を集めるために、静かな場所をつくる。それが、この建物で大切にした考え方です。
【新しくしすぎない】
リノベーションでは、古いものをすべて隠してしまうこともできます。ここでは、工場が持っていた骨格や時間の痕跡を残しながら、東濃檜などの新しい素材を重ねました。古いものと新しいものを対立させるのではなく、互いの良さが見えるようにする。築70年という時間を、この場所にしかない個性へ変える。そのための設計です。
【建築家自身が、完成後も使い続ける】
森と川に咲く花は、完成したところで終わった建築ではありません。梶浦博昭環境建築設計事務所自身がこの場所を運営し、日々使いながら育てています。コワーキング。打ち合わせ。講座。展示。マルシェ。実際に運営すると、図面だけでは分からなかったことが見えてきます。人はどこに座るのか。どこで会話が生まれるのか。どこでは一人になりたがるのか。どの場所が長く使われるのか。設計した建築を、自分自身で使い続ける。その経験は、次の設計にもつながっています。
【建築は、完成後に育っていく】
この場所では、設計時には想定していなかった使われ方も生まれました。人が集まり、イベントが開かれ、新しい関係が生まれる。建築は、完成した瞬間に価値が決まるものではありません。使われる。変わる。人との関係が積み重なる。そうして少しずつ「場所」になっていきます。建築をつくることと、使われ続けることを切り離さない。森と川に咲く花は、そのことを実践し続けている建築です。古い建物には、まだ役割が残っているかもしれない古い工場。倉庫。空き店舗。使われなくなった建物。「壊した方が早い」と思える建物でも、見方を変えると、新しい役割が見つかることがあります。何を残すのか。何を変えるのか。誰に使ってほしいのか。その場所で、何が起きてほしいのか。そこから考えることで、建物の可能性は変わります。森と川に咲く花では、築70年の工場を、働く・学ぶ・話す・集まる場所へ読み替えました。既存建物の中にある価値を見つけ、新しい使われ方へつなげることも、梶浦博昭環境建築設計事務所が考えるリノベーション・空間ブランディング・空間戦略です。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、工場・倉庫・店舗・オフィス・古い建物の活用をお考えでしたら、壊すと決める前の段階からご相談ください。建物を残すかどうかではなく、「この場所に、次はどんな役割を与えられるか」から考えます。
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