【この場所に、何をつくるべきか】
計画地は、以前、火災により建物が失われた場所でした。新しい店舗を建てるだけなら、さまざまな方法があります。しかし私が考えたのは、「ここに建物を建てること」ではなく、「もう一度、人が集まる場所をつくること」でした。そこから、森のマルシェ犬山の計画が始まりました。
【7台のコンテナを、あえて離して置く】
採用したのは、7台の火災に強いコンテナです。ただ並べて店舗にするのではなく、それぞれを少しずつ離して配置しました。すると、コンテナとコンテナの間に、路地。小さな広場。テラス。人が立ち止まる場所。が生まれます。建物そのものではなく、建物と建物の「間」に人の居場所をつくる。そこが、この計画で最も大切にしたことです。
【小さな建築を集めて、小さな街をつくる】
一つの大きな商業施設にすると、人の動きも単調になりがちです。ここでは小さな建築を分散させることで、歩くたびに景色が変わる構成にしました。店を見る。路地を歩く。テラスに座る。屋上へ上がる。人それぞれが、自分の居場所を見つけられる。店舗の面積だけでは測れない場所を、敷地全体につくっています。
【コンテナに、東濃檜を組み合わせる】
工業製品であるコンテナに、地域の木である東濃檜を組み合わせました。無機質な箱をそのまま見せるのではなく、木の温かさや、人が触れる場所の質を加える。さらに、建物の間に生まれる空間にも木を使うことで、小さな店舗群に一体感を与えています。この取り組みは、ウッドデザイン賞を受賞しました。
【賑わいは、建物の中だけで生まれるものではない】
完成後、観光客が訪れ、テラス席で軽食を楽しむ姿も見られるようになりました。ここで改めて感じたのは、人が集まる理由は、店舗そのものだけではないということです。歩きたくなる。少し座りたくなる。誰かと話したくなる。そんな小さな場所が連続することで、人は自然に滞在します。飲食店や商業施設では、つい「店内をどうつくるか」に意識が向きます。しかし実際には、店に入る前の動き、外で過ごす時間、店と店の間、視線の抜け方までが、その場所の魅力をつくっています。建物を設計するだけでなく、人がどう動き、どこで立ち止まり、どこに居たくなるかまで考える。そこまで読み込むことで、商業空間の可能性は大きく変わります。この思想が、日本商環境デザイン賞入選につながりました。
【条件の中に、個性を見つける】
限られた敷地。小さなコンテナ。一つひとつだけを見れば、制約です。しかし私は、制約を消すのではなく、「この条件だからこそ、何ができるか」を考えます。森のマルシェ犬山では、7台のコンテナそのものより、その間に生まれる路地やテラス、小さな広場に可能性を見つけました。もし一つの大きな建物だけを考えていたら、この場所の魅力は生まれなかったかもしれません。
【飲食店や商業建築は、計画を固める前が大切】
飲食店や商業施設では、席数、売場面積、駐車台数といった数字も重要です。けれど、それだけでは「また来たい場所」にはなりません。土地の条件。周辺環境。人の動き。外部空間。建物同士の関係。そこまで読み解くことで、オーナー自身もまだ気づいていなかった可能性が見えてくることがあります。
こうした「まだ見えていない答えを、建築の前に見つけること」も、梶浦博昭環境建築設計事務所が考える商業建築・空間ブランディング・空間戦略です。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、飲食店・店舗・商業施設・遊休地の活用をお考えでしたら、計画を固めてしまう前に一度ご相談ください。建物をつくる前だからこそ、見つけられる答えがあります。
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