【三角形の土地を、四角く使う必要はあるのか】
住宅の敷地は、四角い方が使いやすい。そう思われがちです。この土地は、田んぼに囲まれた直角三角形。一般的には「変形敷地」と呼ばれる条件です。しかし私は、「この三角形を、無理に四角く使わなくてもいいのではないか」と考えました。土地の形を修正するのではなく、まずその形に従ってみる。そこから、この住宅の設計が始まりました。
【三角形の中に、四角い箱を並べる】
建物全体を三角形にしたわけではありません。三角形の頂点から境界線に沿って、必要な大きさの四角い空間を一つずつ配置しました。仕事の場所。家族が過ごす場所。個室。それぞれに必要な面積を、構造にも敷地にも無理のない形で積み上げていく。すると、建物と敷地の間に自然と余白が残りました。その余白が、テラスになりました。
【「余った場所」が、一番気持ちのいい場所になった】
通常、設計では余った場所をできるだけ減らそうとします。しかし、この住宅では違いました。各階で必要な面積を確保したあとに残った場所を、テラスとして使っています。2階のリビング・ダイニングから。3階の子ども室や夫婦室から。外へ出ると、目の前には田んぼが広がり、そのさらに向こうまで視線が伸びます。建物を入れなかった場所が、暮らしを豊かにする場所になった。これは、この敷地だから生まれた答えです。
【1階は仕事、上階は暮らし】
1階には、歯科技師のアトリエがあります。仕事には広い面積が必要でした。そこで1階を基準とし、その上に必要な住宅部分を積み上げていきました。2階はリビング・ダイニング。3階は子ども室と夫婦室。仕事と暮らしを分けながら、一つの建築としてまとめています。職住一体だからこそ、仕事と暮らしの距離をどうつくるか。そこも、この住宅の重要なテーマでした。
【田んぼを「周辺環境」で終わらせない】
この家の周りには、田んぼがあります。設計条件として考えれば、「周囲に田んぼがある」というだけです。しかし、そこで終わらせるのはもったいない。どこに立てば一番遠くまで見えるのか。どの階から風景を感じるのか。どこにテラスがあれば、日常の中で外へ出たくなるのか。その風景まで、住まいの一部として考えました。土地の外にあるものまで、建築の材料にする。それによって、床面積以上の広がりが生まれます。
【変形敷地は、欠点とは限らない】
土地を探していると、三角形。細長い。高低差がある。方角が悪い。といった条件だけで、「難しい土地」と判断してしまうことがあります。もちろん、設計上の制約はあります。しかし、制約があるからこそ、その土地にしかない建築が生まれることもあります。Ⅳテラスの家では、三角形の敷地を無理に整えなかったことで、4つのテラスと風景につながる暮らしが生まれました。土地に建築を押し込むのではなく、土地の声を聞いて建築を置く。それが、この家で大切にしたことです。
【土地を買う前に、建築家に見せるという選択】
住宅や事業用地を探すとき、不動産として「使いやすい土地」だけを選ぶ必要はありません。一見すると使いにくそうな土地でも、何が見えるのか。どこから光が入るのか。どんな形なら無理なく建つのか。そこまで読むと、評価が変わることがあります。梶浦博昭環境建築設計事務所では、建物の設計だけでなく、土地にまだ見えていない可能性を探すところから考えます。
名古屋・愛知県・岐阜県・三重県で、変形敷地・狭小地・職住一体住宅などをお考えでしたら、土地や間取りを決める前の段階からご相談ください。「建てにくい土地」ではなく、「まだ答えが見つかっていない土地」なのかもしれません。
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